書籍紹介「女と男 なぜわかりあえないのか」

読書・映画

 橘玲(たちばなあきら)氏著書の「女と男 なぜわかりあえないのか」が6月に発売されました。これまで、橘玲氏と言えば、金融関連の書籍・小説を手始めに、そこから派生した人生攻略などの書籍が多いです。その後、「言ってはいけない」など、多くの論文からエビデンス(証拠)などを集め、生物学的なアプローチから人間を分析した書籍などがあります。今回の書籍も、主に生物学的な仮説を立て、多くの様々な実験による論文結果をもとに、誰もが興味のある「女と男」について検証する書籍となっています。

書籍の主な全体構成
①女と男の欲望の違い
②女と男の生物学的な違い
③違いをもとに恋愛を科学する
④女と男の社会性の違い

①女と男の欲望の違い

 冒頭、男と女の欲望はなぜすれ違うのかを、男女それぞれ魅力的だと思う異性の年齢をアンケートした結果として提示されます。男性は、いくつになっても20代前半を、女性は30代までは同年代を、40代に入ると年下を好むという「非対称性」(女と男の欲望の違い)に着目します。つかみはOKと言った所でしょうか。

 このような皆薄々分かっている「不都合な真実」をデータで明確に突きつけられ、筆者は、若い女性がその市場価値を最大化(年頃になる、派手な服装をする、パパ活・ギャラ飲み、etc)しようとするのは必然であると言います。

②女と男の生物学的な違い

 このような男女の違いを生物学的にアプローチします。すべての生物が後世に遺伝子を残すよう「設計」されているとすれば、すべての目的は「生存」と「生殖」であると言います。となれば、オスは妊娠可能なメスに集中的に資源を投資(若い女を追いかける)し別のオスとの闘いに勝ち抜くことが必要で、メスは妊娠・出産・子育てといったリスクを受容できるオスの資質や資産(強さ、権力、財力、子育て協力など)を選択する動物なのだそうです。

 当然、オスの強さは文化的に変異してきており、現代では権力に対する未魅力が相対的に低下(社長や管理職を目指すよりも、インスタやツイッターのフォロワー数を目指す、など)すると、男性の資源の資源の量を示す明快な指標がより重視されることになります。それはつまり「カネ」ということになります。「愛こそはすべて」と歌ったジョン・レノンの高邁(こうまい)な理想は、「とてつもなく豊かで平和な社会」では「カネこそはすべて」に変わったのです。(著者)


③違いをもとに恋愛を科学する

  薄々分かっていることではありますが、ナンパにおいて男女の違いが顕著です。実験結果によれば、オスはベットまでの誘いにのるのに対し、女性はデートの誘いにはオスと同等であるものの、部屋やベットへはついて行きません。その理由も生物学的に、メスのセックスはコストが高く(妊娠・主出産・子育て)、オスのコストは限りなくゼロに近いためと結論付けています。

 現代では、恋愛のメカニズムも明らかになりつつあり脳科学者によれば、「恋愛や母性愛はドラッグ依存症と同じ」と分析されています。「会いたくてたまらない」とか「気が狂うほど好き」というはドラッグの禁断症状と同じというのです。また、恋愛によるドーパミンの大量算出は6ヶ月程度で終わるのだそうです。燃えるような恋愛も半年程度が賞味期限ということでしょうか。恋愛小説もなにもないですね、何とも味気ないですね。

④女と男の社会性の違い

 女と男の違いの話は恋愛にとどまらず、社会についても言及しています。例えば、男の暴力はどこから生まれたか、女のいじわるを研究する、”美女は得をする”は本当か、結局みためがすべてなのか、など。

最後に

 いかがでしたでしょうか?ほかに興味深い分析が数多く収録されています。興味のある方は、是非、一読をお勧めします。

 橘玲氏は1959年生まれですから、今年61歳です。私が感心するのは、その年代の方が、SNS時代の現代の若者の行動原理に対して論理的に理解している所です。これまで、私が知っている年配者は、若い世代について全く理解できず、理解しようともしません。自分自身も若い頃、同じように先輩世代に対して感じていたはずなのに。そこにも、「高齢者と若者 なぜわかりあえないのか」が存在しているのです。


女と男 なぜわかりあえないのか (文春新書)

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