映画「ゴールド 金塊の行方」にみる夢と友情とは

読書・映画

 男の友情をテーマにした映画は、かつて多かったように思います。ご存じの方も多いと思いますが、少年たちの友情を描いた「スタンド・バイ・ミー」、「マイ・フレンド・ドー・エバー」や老人と少年の友情を描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」、大人の男と子供友情を描いた「パーフェクト・ワールド」などの名作があります。

 どうも少年が絡むことが多いようです。これは、大人になると友情よりも実利や利己を優先する傾向にあるからでしょうか。

 最近では、若い男と老人との友情を描いた、「最強のふたり」や老人どうしの「最高の人生の見つけ方」などがあります。高齢化社会が影響しているのでしょうか。

 そんな中、「ゴールド 金塊の行方」は、お金や欲望が渦巻く鉱山業界や投資銀行といったビジネスシーンにおける友情を描いた稀有な映画と思います。

ゴールド 金塊の行方 2017年
あらすじ
 主人公のケニー(マシュー・マコノヒー)は祖父が起こし、
父が大きくした鉱山会社を傾ける。そこで、起死回生を目指し
地質学者マイケルの唱える説に全財産を賭けることを決意する。
 現地のインドネシアでは、黄熱病に命を落としかけるも、
ついに金鉱を掘り当てる。一躍時の人となり、投資会社は鉱山の
売却を進言するが、金でなく夢を選んだケニーは売却を拒否する。
 しかし、鉱山は政治的に奪われ、ケニーは最後の賭けに出る。

<みどころ①:鉱山の発掘は丁半ばくち>

 鉱山の発掘には、発展途上国での採掘権獲得のため賄賂が必要であったり、便の悪い山奥でボーリング調査を実施するために莫大な費用がかかります。それで混入率の高い鉱脈が出なければ、そのまま損失・借金を抱えることになります。そんな「出るか、出ないか」の丁半ばくちに魅せられる山男は多いのです。

<みどころ②:金でなく夢>

 主人公ケニーは、自分の家も失い、ホームセンターで働く彼女の家に転がりこみ、ついには彼女にプレゼントした金の時計を質に入れて資金を捻出します。そして、最後には黄熱病にうなされる中、自分のクレジット・カードをマイケルに手渡します。

 石油や鉱山の業界は、アップストリームと呼ばれる油田や鉱脈を発見する業界、ダウンストリームと呼ばれるガソリンスタンド会社や鉱山会社などの分かれます。ケニーはアップストリームの会社を経営していますが、採掘まで自分の手で行うのが夢であるため、発見した金鉱の売却を拒み、大金をみすみす手放します。さらに、政治力によって鉱山を取り上げられてしまいます。

<みどころ③:ケニーの情熱とマイケルの友情>

 ケニーは、まさに全財産、そして生命まで賭して金鉱を掘り当てようとします。金鉱を掘り当てたケニーはパーティー三昧の浮かれた毎日を送ります。しかし、それは決してカネを得たからではなく、夢を実現したことが嬉しかったためだったのです。それはカネのためには手段を選ばない権謀術数うずまくビジネス・政治の世界では非常に稀な存在と言えます。それを目の当たりにしてきたマイケルがとった行動は…。ラストの大どんでん返しを観た後にもう一度見直すと、所々に伏線が引かれています。2度楽しめる映画でもあります。

<みどころ④:俳優マシュー・マコノヒー>

 主人公ケニーに扮するマシュー・マコノヒーは、「ダラス・バイヤーズクラブ」という映画で、HIVに感染したガリガリに痩せ細った主人公を演じ、今回は禿げ上がった頭にメタボの腹という役作りまでするなど、役作りにはいつも敬服させられます。この俳優からは目が離せません。

<みどころ⑤:実話>

 この話は、90年代に実際の起こった170億円ドルの金鉱が消えたという空前絶後の詐欺事件「Bre-x事件」を元に作られています。また、マコノヒーの父親も鉱山の探鉱者だったそうです。マコノヒー自身も制作・主演を演じているところからもその熱の入れようが想像できます。


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