人に与えることの素晴らしさ 映画「ペイ・フォワード」

読書・映画

 人生は、多くを獲得することで幸福になるのでなく、誰かを幸せにすることが結局は自分を幸福にするのでは、と思わせてくれる好作品と思います。また、理想と現実、心の傷を負う者の生き方を学べる映画として「ペイ・フォワード」をご紹介します。

ペイ・フォワード 2001年
あらすじ
 主人公の少年トレバーは母子家庭で家庭に悩みを抱えている。
そんな時、新しい社会科の教師シモネット(ケビン・スペイシー)による課題「この世の中を良くするためには何をすれば良いか」に対し、人からしてもらった好意を、3人の人に渡していくということを思いつく。

 物語は、雨の中の立てこもり事件の現場に立ち会う記者が、自分の車を壊されうなだれている時に、通りすがりの男に車をもらう所から始まります。 

 一方、新任の社会科教師のシモネットは、「社会とは、文字通り君たちと社会を結び付ける勉強だ。そのためには世界を良くする必要がある。そんなことはバカらしい?、無理だ?、それを可能だ(possible)という言葉に言い換えてみよう」という。悩みを抱え「この世はクソだ」と思っていた少年トレバーにはこの言葉が響くのです。そして、そんなシモネット自身にも魅力を感じ始め、好意を持つようになります。

 課題「世界をよくするために」に対して「Pay it foward」(原題)を授業で発表するが、やはりクラスメイトからは、それはユートピア(理想)に過ぎないと笑われます。

 実際、最初に救ったホームレスは元の生活に戻り、いじめに遭うクラスメイトも怖くて助けることが出来ない。そこで、やけどの痕があり孤独な教師シモネットとアルコール依存症に悩む自分の母親をっくっつけようと試みるのです。

 この物語は、主人公トレバーのペイ・フォワードの試み、そしてそれぞれ心の傷を負う教師シモネットとトレバーの母親の行く末、そして車をもらった記者が、なぜそんな親切が出来るのかを探る話が、並行して進行していきます。

みどころ①:教師シモネットのやけど>

 教師のシモネットは、やけどの痕があるため人に陰口を言われて来たのでしょう、心を閉ざし、孤独に勉学に情熱を注いで来たのだと想像できます。しかし、そのやけどはなぜ…?

<みどころ②:母親アーリーンとシモネット>

 彼女は、アルコール依存症から抜け出せず、息子トレバーにも嘘をついています。夫もまたアル中で行方知らず。そんな二人と、教師シモネットの行方は…?(夫役はなんと、ジョン・ボン・ジョビ)

<みどころ③:ペイ・フォワードの広がり>

 「ペイ・フォワード」を思いつき実践するトレバー。しかし、なかなかうまく行かない。しかし、その輪は思いも寄らない広がりをみせています。

<みどころ④:理想と現実>

 この映画の冒頭は、あまりに理想的な着想からスタートするため、冷ややかに感じる若者が多いと思います。私も20代の頃に観ていたら、そう感じたのではないかと思います。しかし、物語は美しいハッピーシーンだけでなく、現実を突きつけられるシーンもあるのです。

 この映画のすごい所は、映画を観た人がペイ・フォワードに共感し、実施に行動する人が出て来ていることです。それは簡単なことから臓器提供まであったそうです。

 しかしそれらは、決してハッピーエンドにならないことも多いでしょう。それが現実なのかも知れません。しかし今後も、そしてずっと、ペイ・フォワードを信じて行動する人は出続けるであろう事もまた真実なのです。


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